先日、ある会社経営の方(Uさん)と打合せをしていたときのことです。
「何だか相続って今一つピンとこないんですよね」と。曰く、「相続が発生したら受け取る人にはキチンと決まりがあるじゃないですか。奥さんにこんだけ、子供たちにこんだけとか細かく決まってますよね?なのにそんなにモメちゃうのかわからないんですよね」
なるほど。Uさんは配偶者1/2、お子さんが…と決まっているのにどうして揉めるの?と不思議に思っていたそうです。
伺うとUさんは身近な方の相続を経験したことが無く、自分が相続の当事者になることが想像できないようでした。
相続の仕事をしているとこのような会話は多く、そんな時はこのような会話が続きます。
「Uさんがそう思われるのはもっともですよ」
「ではちょっとだけ立ち止まって一緒に考えてみましょう」
「例えば今日の帰り道、あなたが亡くなったとしたら…」
あなたとあなたの周りに起こることを一緒に考えるんです。
・あなたのお通夜や葬儀の喪主は誰ですか?
・あなたの財産は誰のものになると思いますか?
・そもそもあなたの財産はどんなものがありますか?
・その財産をひとつひとつ「誰に」「どんな割合で」引き継ぐかあなたがきめることができることを知っていますか?
・あなたが亡くなったあと、大切な家族・お子さんたちにどんな人生を送ってもらいたいですか?
・天国からこの世を見たときにお子さんたちにあなたは「どんなお父さんだった」と言われたいですか?
などなど・・
ひとつひとつ丁寧に、「あなた」が相続を「いつか自分に起きる出来事」と当事者意識を持って捉えることが出来るよう、色々な質問を通して考えてもらいます。
「見えないかもしれないけれど確かにそこにある問題」
「今は小さいけれどそのままにしておくととても大きくなるであろう問題」
問題が小さいうちにしっかり対処しておくことが、将来必ず大切な家族のためになります。
相続診断士・AFP 都丸